TOP PAGE
新築の事例
リフォーム
施設の事例
設計のスタンス
住宅リフォーム
プロフィール
工房・オフィス
 
お問い合せ
住宅リフォーム 〜 適切なリフォームの提案〜
住宅のリフォームの程度やお金のかけ方は、建物の状態と住まい手の事情によって左右されます。例えば、伝統的なつくりの住宅と昭和40~50年代に建てられた住宅、20年ほど前の住宅を比べると、構造形式や断熱方法が異なり、それに応じた解答があります。特に構造的な脆さがある建物なら、それの改善が優先になります。また、水廻りや屋根からの漏水、シロアリ被害がある場合は、建設年代問わず、早めの処置が必要です。まずは、しっかりとした調査を行って、リフォームのストライク・ゾーンを見極める必要があります。分かりやすい設備や仕上げを新しくすることと構造や断熱を性能UPできることを一石二鳥で出来る部分を探していきます。つまり、安心や快適性を満足しながら、見た目にもきれいに整えることができるようご提案いたします。

家族構成や年代によって異なる間取り
小さな子供がいる若いご夫婦、子育てを終えられた年配のご夫婦、単身の方に相応しい(希望される)リフォームのやり方が違うと思います。リフォーム後に住む時間の長さとコストの目標が異なるからです。

上記の異なる家族構成では、求めるリフォーム内容のニーズが変わっていきます。今までに建てられてきた住宅の多くは、主に「中学〜大学生くらいまでの子どもがいる」家族人数が多い時期に合わせて造られてきました。この家族構成に対応して建てられた50坪ある住宅は、「乳幼児〜中学くらいまでの子どもがいる時期」や「ご夫婦で暮らされる時期」には広すぎる規模になり、使用していない部屋が出てきます。例えば「ご夫婦で暮らされる時期」にリフォームされるなら、50坪を満遍なくピカピカにリフォームすると言うよりは、構造や耐久性、温熱などの優先順に従って、頻繁に使われる部屋にリフォームのコストをシフトした方がよいと言えるでしょう。「乳幼児〜中学くらいまでの子どもがいる時期」に中古住宅を手に入れて、子育てや老後も住もうとお考えの方には、基本的な構造や温熱の性能を十分確保できるようにすることが望ましいでしょう。また、既存住宅の全ての性能が今の仕様に劣っている訳ではありません。優れた部分を活かしたり、近い将来を予測して、費用対効果の高い住宅のリフォームをすることが良いと考えます。

後世に遺したい建物のリフォーム
もうひとつ大事な視点があります。それは、後世に遺したい建物のリフォームです。阪神間では、大震災で多くの伝統的な建物が壊れ、残念ながら多くの方が被災されました。これは、まぎれもない事実です。被災率が大きかった地域では、以前の面影が全く感じられないまち景観を造っており、現在も相続や機能的な陳腐化から取り壊され続けています。全く残念なことです。昔の持ち主さんが大事にしてきた住まいや職人さんが手間をかけて造ってきた仕事を適切にリフォームして遺せる技術はあります。積極的に住文化の継承をしたいと考えております。これは、個人的な願いでもあります。若干ですが、税制上の優遇措置も有ります。古い建物に工夫を加え、今のくらしにあった機能と性能を添えて、仕立て直したいと考えています。
美しい景観を提供してくれる古い農家
ザシキ〜エン〜ニワと繋がる内部と外部
漆喰壁と焼き杉の蔵の外壁(詳細)
玄関の建具
敷居と鏡板だけを取り替えて、大事に使う
重要な調査

簡易調査書
*クリックしていただくとPDFファイルが開きます。【288kb】

リフォームを行うにあたって、重要な作業は建物の調査です。まずは、部分的な目視と間取りを中心にした簡易調査をします。下の簡易調査書をご覧ください。おおよそのリフォームのポイントをつかみます。次に、床下や小屋裏を確認する詳細な調査や住まい手のご希望をヒアリングして、既存建物の状態に応じた合理的なリフォームの計画をすすめて行きます。特に構造的な補強は、間取りと劣化状態の調査が鍵になります。
床下調査:木部の蟻害や腐朽、耐震金物や断熱の有無、設備配管
床下の調査:蟻道からシロアリの活動状況を確認する
小屋裏の調査:漏水箇所、柱や梁の接合部、屋根面の構造を確認する
外部屋根廻りの調査:軒裏の漏水痕(瓦屋根の谷部分)
構造リフォーム
耐震や耐風の性能を向上させる一番の目的は、阪神大震災のような大地震があっても、生存空間を確保することにあります。リフォームの重要な目的はここにあります。一般的な耐震改修方法は、おおよそ新築と同様の耐震要素を既存の構造に付け加えていきます。つまり、既存の基礎に鉄筋入りの基礎をつけ加え、木軸部分は出来るだけ裸の状態にしてから、現在の基準と照らし合わせて壁や床に補強していくやり方です。しかし、このやり方だけだと、文化財でいう半解体を行うことが前提となります。解体処分⇒構造補強⇒仕上げの工程に大きなコストがかかるという欠点があります。住まい手の経済的な状況から、『コストがかかる=補強できない、リフォームしない』ということになりかねません。また、キッチンを新しくしようと希望されていたリフォームの内容が、耐震補強だけになってしまうなど、バランスを欠くリフォームになる可能性があります。せっかくのリフォームです。出来るだけ使い勝手を良くしたり、仕上を替えたりして、持ち主の方に楽しんでもらいつつ、耐震補強もしっかり行いたいと考えています。

 高度成長期の建物の場合、 以下のような構造上の欠点が挙げられます。

  1. 柱が細いこと
  2. 耐震壁が弱い
  3. 南側の耐力要素が上下階で繋がりが悪い
  4. 床が柔らかい
  5. 全体バランスの悪さ

もう一歩すすんで、リスクマネジメントが出来て、コストを抑えることが出来る対処をしておく必要があります。簡単対処するには、以下の方法があります。

  1. 主要な柱と梁の接合部(仕口や継手)を外れないように補強する
  2. 既存の軸組みに、粘りのある(変形しても耐える)耐震要素(耐震フレームなど)を付け加える
  3. 重要な梁(2階より上が載っている)に柱を付け加える
  4. 屋根を葺き替えたり、外壁を更新して、建物の軽量化をする⇒建物の重さが減るので地震の力も減る

このような方法を間取りの変更と絡めつつ、バランスをとりながら住宅のリフォームを進めます。ポイントは、力の流れと逆に、基礎⇒1階⇒2階⇒屋根の順に改修のストーリーを見極めることです。

阪神大震災で一階が壊れた住宅
Eディフェンスおける耐震実験/左側が耐震補強あり、右側が耐震補強なし
粘り強さを出す耐震フレーム例(構造設計:下山聡氏)
耐震フレーム略図(構造設計:下山聡氏)
劣化対策
木造住宅の劣化は、主にシロアリよるものと漏水によるものがあります。他にも紫外線や太陽の熱、風などの経年劣化がありますが、これらも結果的に漏水など原因に連動し、木造軸部の腐朽や鉄筋の腐食に繋がり、構造体を痛めることになります。

■ シロアリ被害
まずは床下と水廻りを調査することから始めます。シロアリの被害は、建物の廻りや基礎下の土壌から始まりますので、玄関廻り、土壌に接した木部など物理的にシロアリを誘導している箇所を重点的に点検します。土が埋め戻された水廻りの床や在来浴室は、非破壊の点検が出来ませんが、何らかの被害があるとみなしてよいでしょう。このような場所の床は、土を撤去して根太組みの床に変更し、浴室はユニットバスに取り替える方がよいでしょう。多くの場合、構造体にシロアリや腐朽菌の被害があります。なお、新築の場合であれば、一体となったべた基礎はシロアリに対して有効なバリアーになりますが、リフォームの場合は既存の基礎にコンクリートを打増しても、隙間がなく打てないので、一概に有効とは言えません。シロアリを誘導する部位の撤去、風通しを良くするなど床下環境を整えることや点検を頻繁に行えるように点検ルートの確保がシロアリ対策として適切です。

■ 漏水による被害
木部の腐朽に繋がります。最も雨水の当たるのは屋根です。その中でも、谷や棟廻りなど一般の部分と異なる部分は、漏水している確率は高いので、小屋裏から点検します。次に屋根の端部です。屋根の端部は妻側の破風板と軒先廻り、壁との取り合いがあります。この中でも、樋の付いた軒先は、不具合が多いので注意して点検をします。軒裏にシミがついているなら、水が廻っている証拠ですので、出来るだけ取り替えた方がよいでしょう。この他は、バルコニーのドレイン廻りや外壁のサッシ廻りのクラックも丁寧に調査して、周辺状況から雨と風の方向を予測して、クラック補修や仕上げの更新を行う方がよいでしょう。
漏水は、物理的な形状そのものと素材の耐久性に左右されます。前者は、屋根の谷や緩い勾配、居室の上のバルコニー、庇の有無がそれにあたります。リフォーム時にこれらを改善すると、コストはかかりますが、素材の修繕頻度は減ります。後者は素材の違いによって、修繕頻度は変わってきます。目標となる建物の使用期間と修繕頻度、コストによって、条件によって適切な答えを出します。

谷の軒先廻り:屋根の谷になっている部分は葺き替える宅
土間の床下部分(便所):土台と土が接している部分は、土を除いて床をつくり替える
床下点検口:床に点検口を設けて、床下に入れるようにする
天井点検口:バルコニーのドレインがある付近に有る場合はその真下の天井に点検口を設ける
温熱改修(パッシブデザイン)
安心に繋がる構造補強や劣化対策の次は、快適さに繋がる工夫が重要です。冬暖かく、夏涼しい室内の温度を安定させる工夫のことです。快適さと同時に、暖房や冷房に要するエネルギーを削減することが主な目的です。

具体的な方法は、適切なパッシブデザイン(十分に断熱する、冬は窓から陽を入れる、夏の日射を遮る、風通しを良くする、外の光を部屋に取り入れて明るくする)にあります。

■ パッシブデザイン
聞きなれない言葉かもしれませんが、その方法は今までにも身近な所に一杯ありました。 例えば…

  1. 冬に縁側に陽の光を採り込んでポカポカにする
  2. 夜は障子を閉めて保温する
  3. 夏にスダレやヨシズを窓の前につけて日射による温度上昇を抑える
  4. 陽が落ちれば風を通して、涼をとる

これらの工夫をもう一歩連動して、自然環境と上手く付き合いながら、室温の安定を計ることがパッシブデザインです。難しくありませんが、それぞれの工夫の効果を定量的に把握して計画をたてることや住まいかたが重要になってきます。自然の環境と上手く付き合うのですから、住まい手の方が四季を感じながら、窓を開けたり閉じたりして調整してもらいたと思います。日本の多くの地域は、冬は一定の暖房が必要なほど寒く、夏は厳しい暑さがあります。しかし、春や秋は冷暖房しなくても快適に過ごせます。寒さや暑さを上手く調整してくれるのが窓です。窓に求めたい機能は、眺める、視線を遮る、防犯などの他に、日射を入れる、保温する、日射を遮る、風を通す実に多くあります。逆に、窓は何も能動的なアクションを起こさないと、熱が逃げすぎたり、入り過ぎたりする建物の急所でもあります。季節に応じたモードへ住宅内部を調節することが、パッシブデザインです。

■ 適切な断熱
次に温熱や省エネを建物全体でみておく必要があります。住宅のリフォームでは、断熱工事を外側から行うことと内側から行うことが選択できます。いずれも、解体工事や元に戻すために下地と仕上げの工事が伴います。一般的には、内側よりも外壁の方が仕上げにコストがかかります。外壁の劣化が著しい場合は、外壁を取り外して断熱と耐震と劣化対策を一度に行ってもいいと考えます。一方、断熱以外に外壁に求めることがなければ(劣化上、問題がない時など)、内側から断熱工事をすることが適当だと言えます。また、サッシを取り替える必要がある場合は、内外共に仕上げに影響を与えるので、検討が必要になります。 別の視点でみてみましょう。例えば、夏は風通しがよい伝統的な古民家の場合はどうでしょう。住まい手の人数が少ない割に規模(面積)が大きく、冬の寒さだけを何とかしたいと考えられている場合です。伝統的な造りの解放感を活かして、費用対効果を上げる方法は、LDKと水廻り、寝室だけを断熱して建具で区切ってしまう方法です。もちろん、夏や中間期(春や秋)は、今まで通り全部を利用して、冬の寒い時期だけを区切った部屋を中心に利用すると、無駄な費用を使わなくても、目的が達成されます。LDKと水廻り、寝室を暖かく区切っておけば、冬の夜に起こりやすいシートショック対策になります。

断熱:天井や壁の内側から断熱する宅
窓から熱が逃げるのを少なくする/既存のサッシの内側に樹脂製の内窓を設ける
夏の日射を遮る工夫/サッシにルーバー付き雨戸を設ける
夏の日射を遮る/窓の外側に外付けブラインドを付ける
省エネリフォーム
住宅におけるエネルギー消費は、①冷暖房+換気 ≒25%、②給湯+調理 ≒35%、③家電(照明を含む)≒40%の3つです。①は前の温熱改修によって、消費エネルギーを抑えることができます。②は、効率のよい器具の選定と太陽エネルギーを活用した簡易な器具(太陽熱を給湯に利用する)があります。簡易な太陽熱給湯器の設置は非常に高い省エネ効果がありますので、設置をおすすめします。③は最もエネルギー消費が大きいものです。通電時間の長い冷蔵庫やテレビは、この10年の間に省エネが相当に進んでいます。リフォームを機会に、古い家電の買い替えは高い省エネ効果を得られますので、買い換えてはいかがでしょうか?簡単な計器で、消費電力を知ることが出来ます。重要なポイントは、省エネの改修を行う場合、断熱工事のみならず、給湯や家電などを含めて、総合的に取り組む必要があります。小さな効果をいっぱい集めて、大きな省エネ効果を出す方向が、正しいやりかたです。
太陽熱給湯器:太陽の熱意を給湯に利用する
ワットメーター:家電の消費電力をチェックする(3000円程度で購入できる)
Copyright ©2008-2012米谷良章設計工房 All Rights Reserved